八女伝統本玉露

八女伝統本玉露
※提供元:八女伝統本玉露推進協議会

登録番号 5
名称 八女伝統本玉露(ヤメデントウホンギョクロ)、Traditional Authentic YAME GYOKURO
分類 加工食品
登録日 2015/12/22
生産地 福岡県
登録生産者団体

八女伝統本玉露推進協議会

福岡県八女市本村420-1

登録公示

第5号:八女伝統本玉露

農林水産物等の生産地

「八女伝統本玉露」は八女市及び周辺市町の中山間地域で生産される生葉を手摘みし、伝統の手法で加工した、香り豊かな「仕上げ茶」です。生葉を産地の製茶工場で一次加工したものを「荒茶」と言いますが、その荒茶を再製加工し、外観や香味を整えて商品として完成した茶が「仕上げ茶」です。
 玉露は、原料の生葉を生育する間被覆することにより、「覆い香」と呼ばれる特有の青海苔様の香りを有するのが特徴です。一般的には化学繊維資材を用いて被覆しますが、「八女伝統本玉露」の原料生葉は、稲わらや「すまき」という稲わら、葦等を粗く編んだ天然資材を用います。化学繊維資材に比べ、被覆内の温湿度環境が茶芽の生育に好適であり、かつ、「自然仕立て」により茶芽の一つ一つに十分な養分が送られるため、鮮緑色かつ艶が生まれます。一般的な玉露は、茶葉を摘む収穫面を半球状にする弧状仕立てであるのに対して、「自然仕立て」とは自然の茶の樹姿を生かした仕立て法です。また、「手摘み」にすることで、新芽の柔らかい部分のみを均等に収穫することができ、新芽の大きさが均一化されています。
 このようにして生産された生葉を原料に加工された荒茶、仕上げ茶の外観は、鮮緑色で艶があり、細くよれ、繊細かつ上品さを醸し出しています。その香りはとても豊かで、「覆い香」を呈する香気成分Dimethy1 sulfideの含有量が高く、同産地の煎茶、玉露と比べても非常に多く、煎茶の5倍以上、玉露の約2倍であることが確認されました。また、うま味成分であるテアニン等のアミノ酸を多く含み、渋味を呈する成分であるカテキン類の含有量が抑制されるため、浸出液の味は濃厚、「まろやか」で「こく」があります。

「八女伝統本玉露」の生葉生産茶園は、八女市及び周辺市町の中山間地域に存在します。年平均気温15.2℃、年間降水量2,019mmであり、立地条件がもたらす朝夕の気温差は、経験則的に高品質茶生産の適地とされる「朝霧の発生」をもたらします。また、気温差が大きいほど、夜間の植物の呼吸が抑えられ、うま味成分であるアミノ酸等の養分が多く蓄えられます。
 この地域は、稲作・麦作も盛んであり、被覆資材の原料となる「わら」の供給体制が整っています。「すまき」(稲わら、葦等を粗く編んだ物)等の天然資材の編み手や製造機械は、当該地域にわずかに残るだけで、八女伝統本玉露に用いる資材は他産地では入手困難であり、資材の供給体制が整っている状況が、「覆い香」など香り豊かな「八女伝統本玉露」生産を支えています。加えて、畜産業も多く営まれており、窒素、りん酸、カリ等の養分供給や茶園土壌の保肥力・排水性を高めるために必要な「堆肥」の生産・供給体制も整備されています。
 荒茶加工技術の研鑽も、世代を問わず、常に行われています。特に、荒茶加工技術の基礎となる「手もみ」は、若手後継者を中心に毎年競技会・研修会を開催し、技術の継承と蓄積が行われ、このことが外観の良さ(鮮緑色で艶がある、細よれ等)をもたらしています。
 歴史を辿りますと、1423年に栄林周瑞禅師が(旧)筑後国鹿子尾(現:福岡県八女市黒木町笠原)に霊巌寺を開山し、明国から持ち帰ったお茶の種子を播いてお茶の製法を伝えたのが八女茶のはじまりと言われています。その後、八女茶の生産は、1820~1840年頃に山間部全域に広がって行きました。八女茶発祥時の茶種は「煎茶」が主流でしたが、当該地域が玉露生産に適していることが判明し、明治37年(1904年)頃から本格的に玉露生産が(旧)八女郡星野村(現:八女市星野村)において始まり、その後、周辺中山間地域に波及して行きました。

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