大館とんぶり
大館とんぶり
登録番号 | 32 |
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名称 | 大館とんぶり(オオダテトンブリ) |
分類 | 加工食品 |
登録日 | 2017/05/26 |
生産地 |
秋田県
大館市 |
登録生産者団体 | あきた北農業協同組合 秋田県大館市根下戸新町7番22号 |
登録公示 |
農林水産物等の生産地
とんぶりは、一年草であるホウキギ(ホウキグサ)の成熟果実を原料とし、それを加熱加工したものです。とんぶりは加工が難しいことなどから国内他地域での生産が普及しない中、秋田県大館市において「大館とんぶり」の栽培、生産が継続して行われ、秋田の特産品として広く知られるようになりました。
「大館とんぶり」は、直径1~2mm程度の粒状で、味は無味無臭ですが、食感を楽しむ食材として使われることが多く、いわゆる「畑のキャビア」などとも呼ばれるように、プチプチとした如何にも魚の卵に感じられる歯触りが絶妙で、新物の出る10月になると県内外の多くのファンから注文がくるほどの人気があります。現在、国内で商品としてのとんぶりを継続して生産・出荷している産地は大館市のみと言われています。
「とんぶり」の名の由来については「ぶりこ(秋田の県魚ハタハタの卵)に似た、唐伝来のもの」を意味する「とうぶりこ(唐ぶりこ)」が省略され、訛ったとする秋田の方言説が有力であると言われています。
ホウキギの栽培は、収穫時期に合わせ、4月~5月頃に播種、5月~6月頃に移植を行います。成熟した実はコンバイン等で収穫し、一週間ほど天日または乾燥機を利用し乾燥します。乾燥した実を釜で十分に煮て、24時間湯温で処理し、ふやかします。その後、実を揉み、果皮(外皮)を取り除き、脱水して出来上がります。
かつては、日本各地で「ホウキ(箒)」を作るためホウキギが栽培されていました。大館市を流れる米代川流域でも、ホウキギ栽培が盛んでしたが、やがて、国内での箒生産量が減少するのに伴い、ホウキギ栽培も衰退していきましたが、現在の大館市一帯には、江戸時代からホウキギの実を食用とする習慣があり、ホウキギ栽培やとんぶりの加工の生産技術が現在に至るまで継承されています。
もっぱら、農家が自家消費で食していたと考えられているとんぶりですが、1973年に大館市にとんぶり加工場がつくられ、商品として安定した出荷ができるようになると、それが契機となり、「大館とんぶり」は全国的に周知され、栽培・加工量が増加していきました。
ホウキギの栽培にあたっては、風が強い土地柄ですと風に実を落とされてしまい、効率よく実を収穫することができません。その点、ホウキギ栽培の主産地である大館市比内地区は、山に囲まれ、風が少ないため、実を得るための条件に恵まれています。また、同地区の米代川の支流である炭谷川流域では、集落の各所で、とんぶり加工に必要な豊富な湧き水に恵まれているなど、自然条件の面でも「大館とんぶり」の生産に適しています。
このような地理的、気候的好条件を背景に、加工用機械の開発や流通利便性の発展とともに「大館とんぶり」は全国的に周知され、作付面積が1980年からの約10年で倍以上に拡大しました。現在、市場では、他産地産のとんぶりが流通しているという情報が無く、全てが大館とんぶりであると言われています。